みんな、ひとつなぎ

この写真には

今、ここにある危機の〝一歩手前〟が

写し出されています

なんと高梁川の水が、流れていません

 

本日は北へ〝まにみち〟のロケへ出かけました

地元玉島の

ちょっと遅めの紅葉を探しながら

秋の深まりをお届けしようと

車を走らせていましたら

玉島富田の地にある大きなため池のひとつ

〝増原池〟(ましわらいけ)の水が

とても減っていて

昨日のブログに記した〝水〟のことが

一気に危機感を増した気がいたしました

 

それから〝備南街道〟を西へ走り

真備町二万(にま)を抜け

船穂町から高梁川を訪ねました

 

普段は水の流れで見えない〝中州〟が

浮き上がっているように見えて

その〝中州〟のほとりで

ゆったりと羽根を休めている

渡り鳥さんたちの群れに

上から流れてくる水の少なさを

改めて感じました

 

〝これは、どうしたものか〟と

映像で現状をお伝えするには

〝もうひとつ何かが必要〟と思いながら

一旦引き上げました

 

それから、ロケとは別の用事で

対岸の連島を走っていると

県道に設置されてある電光掲示板に

「節水にご協力ください!」

との文字を見て、思い立ちました

 

連島側から〝潮止堤防〟を撮ろう、と

 

〝潮止堤防〟とは

高梁川の水と瀬戸内海の水(真水と海水)

を仕切る堤防のことで

玉島上成と連島町西之浦を結んで

設けられています

 

その〝潮止堤防〟がすっかり

〝沈黙〟していました

川の水が轟音をたてて勢いよく

海へ向かって流れ込んでいく

いつもの見慣れた風景は

どこにもありませんでした

 

しばらくすると

ひっかけ棒とバケツを手にしたお父様が

〝潮止堤防〟のほとりにやってきて

なにやら仕掛けた網を上げながら

浮かない顔をされていました

 

聞けば、川ガニを捕りに来られたそうですが

一匹もかかってなかったそうです

 

『上から水がこにゃあ、なんも流れてこん』

(上流から水が流れて来なければ、

なんにも流れてこない)

 

川ガニも魚も、山からの養分もなにもかも

下流では受け取ることができないことを

お父様のこの言葉から

気づかせていただきました

 

それは、

海へも何も届けられることはない

という

これは〝瀬戸内海〟の

一大事でもあるのだ、と

 

水が減っているということは

私たちの暮らしを脅かすことだけでなく

自然環境への影響も

計り知れない、ということも

 

自然界は〝みんな、ひとつなぎ〟

私たち〝ひと〟も、その輪の中にいることを

水の流れない〝潮止堤防〟が

静かに、語ってくれて

いるようでした

2023年11月11日|日日のこと:daiary|まにみち:manimichi