のぶだう

まるで宝石のようなこの実は

ブドウ科のノブドウ【野葡萄】だそうです

 

牧野日本植物図鑑の表記では

〝ぶだう科のぶだう(蛇葡萄)〟

となっていました

 

なぜにヘビなのか...

「和名ハ野ニアル葡萄ノ意」

と記されてあるだけで

読み取ることは

できませんでした

 

野に生えているイチゴの仲間に

〝ヘビイチゴ〟という名前の果物がありますが

「ヘビが出そうな所に生えている」説と

「ヘビイチゴを好む小さな動物を

ヘビが狙って食す」という説があるそうです

自然環境の食物連鎖を思わせる

深いネーミングではあります

 

〝のぶだう(蛇葡萄)〟は、

普段私たちが食べているブドウとは違って

甘くもなんともないそうですが

野山に暮らす動物さんたちにとっては

まさに〝宝石〟のように貴重な

食べ物のひとつには違いありません

 

岡山県警の生活安全企画課が

防犯の目的で発信している

「ももくん・ももかちゃん安心メール」からは

ここ数カ月、毎日のように

「野生動物の出没情報」が

届けられています

主に〝イノシシ〟や〝シカ〟

まれに〝クマ〟です

 

出会ってしまうと

人が危険な目にあう可能性があるため

注意を促すために送られているようです

 

私たちの安全を守るためには

必要な情報、とは思うのですが

野山の動物さんたちにとっては、

「山の食べ物が足りていない」

ということも

メールから読み取ってしまうのです

 

昨年11月、奥津渓を訪ねた帰りみちに

道路わきにふらりと出てきていた

〝大きなツノを生やしたシカ〟

(ジブリ映画「もののけ姫」のシシ神さまのような)

と会ったとき

驚きと同時に

野生動物の悲しみが伝わってきた気がしました

あの時のシカの眼は今でも

忘れられません

 

里山の入り口あたりで見つけた

〝のぶだう〟に頼ることなく

野山の動物さんたちも

私たち〝ひと〟と同じく

安心して冬を越せますように

祈るばかりです

2023年11月12日|日日のこと:daiary